情シスの業務はアウトソースできる?メリット・デメリットとは
業務効率化や生産性向上に向けた各種デジタル化を進めるにあたって、情シス(情報システム部門)は重要な役割を担っています。
しかし、思うようにIT投資を進めることのできていない企業や、情報システム部門の人手不足で苦労している担当者は多いのではないでしょうか。
本記事では、昨今増えている「情シスのアウトソース」について解説します。
目次[非表示]
- 1.情シス(情報システム部門)の業務内容とは
- 1.1.会社によって異なる情シス体制
- 2.情シスのアウトソースが増えている背景とメリット
- 2.1.会社として技術に関する専門知識をキャッチアップしやすい
- 2.2.人的コストの削減につながる
- 2.3.一人だけの情シス・兼任情シスの負担軽減
- 2.4.属人化の防止
- 3.情シスを外注する際のデメリット・注意点
- 3.1.IT運用に関するナレッジがたまりにくい
- 3.2.アウトソース先との相性がある
- 3.3.費用対効果を測りにくい
- 4.アウトソースしやすい情シスの業務
- 5.情シス業務をアウトソースする際のポイント
- 6.ポイントを押さえて自社にとっての適切なアウトソース先を見つけよう
情シス(情報システム部門)の業務内容とは
まずは情シスの業務内容についてご紹介します。情シスは主に、以下のような業務に従事しています。
- 社内システムの開発・導入・管理・障害対応
- ITデバイスの運用・管理
- 社内からのシステムに関する問い合わせ対応
- IT戦略の策定
たとえばある部門で新しいシステムの選定を進めている場合、会社のシステム要件に合致しているかや、他システムとのデータ連携周りなどの確認をするために、情シスのメンバーが定例会等に参加することが多くあるでしょう。
会社によっては「情報システム部門」ではなく、「IT部門」や「システム管理部」、「デジタル推進部」、「業務情報部」など、さまざまな呼ばれ方がされています。
会社によって異なる情シス体制
情シスの体制は会社によって大きく異なりますが、大きくは以下の4ケースに分けることができるでしょう。
- 情シス部門に一人しかいない
- 他業務との兼任情シス
- 部門としてチームになっている
- アウトソース(後述)
最も小さな規模での運用体制としては、情シス担当が一人だけのケースです。前述のとおり、情シスは様々な業務を担当しているので、一人で対応することは非常に大変であり、業務量が過多になる傾向があります。
同様に厳しい運用が求められているのが、他業務との兼任情シスです。そもそも情報システム部門として独立させるほどの業務量や予算がないなどの理由で、社内でIT知識がある程度あるメンバーが兼業で情シス業務に対応するというケースです。こちらは上記の情シス担当が一人だけのケースの一形態でもあるといえ、同様に業務量が過多になる傾向があります。
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情シスのアウトソースが増えている背景とメリット
続いては、情シスのアウトソースが増えている背景と、情シスをアウトソースすることによるメリットについてご紹介します。
会社として技術に関する専門知識をキャッチアップしやすい
情シスをアウトソースすると、最新技術や専門知識を会社としてキャッチアップしやすいことが挙げられます。たとえば基幹システムをオンプレミスからクラウドへと大規模移行する際に、システム移行の知見がない兼任情シスがプロジェクトマネージャーを務めようと思っても、なかなか務まるものではありません。
外部の専門スタッフを起用することで、そのような専門的な知識や知見を改めて学ぶ必要なく、プロジェクトを進めることができるようになります。
人的コストの削減につながる
情シス部門をインハウスで設けると、どうしても月々の給与や社会保険費用等、人的コストがかかってしまいます。アウトソースすることで、これらの固定費用を軽減することができるでしょう。
一人だけの情シス・兼任情シスの負担軽減
先述のとおり、一人だけの情シスや兼任情シスの負担は大きなものとなっています。該当メンバーの負担を軽減し、業務が回らなくなるというリスクを回避するためにも、情シスのアウトソースは有効です。
属人化の防止
最も重要なポイントの一つとして、情シス業務の属人化の防止が挙げられます。特に一人だけの情シスや兼任情シスの場合、該当メンバーが体調不良などで休んだり急な退職となってしまった場合、代わりに業務内容を把握している人がいないという事態が懸念されます。アウトソースすることで、業務の適切な標準化がなされ、属人化の防止にも寄与することが期待されます。
情シスを外注する際のデメリット・注意点
一方で、情シスを外注する際にはデメリットや注意点もあります。
IT運用に関するナレッジがたまりにくい
アウトソースをするということは、具体的な業務を社内では行わないということなので、IT運用に関するナレッジがたまりにくくなります。もちろん、アウトソース先より運用に関する報告は定期的に受けることになりますが、そこに至るまでのプロセスを理解するには、やはり実際に業務を行う主体になるしかないでしょう。
アウトソース先との相性がある
世の中には様々な情シス業務のアウトソース先がありますが、当然ながら人対人のやりとりとなるので、相性というものがあります。緻密に報告書などのアウトプット納品物を作成するアウトソース先もあれば、アウトプットはそこまで緻密でなくとも有事の際の対応スピードが早いアウトソース先もあります。よって、自社との相性を見極めて依頼をすることが大切だと言えます。
費用対効果を測りにくい
情シス部門は「コスト部門」として見られがちであり、積極的に投資をしようとする経営者はまだまだ多くはないのが現状です。特に「費用対効果を測りにくい」点がネックになることが多いようです。
アウトソースしやすい情シスの業務
情シス業務をアウトソースすることのメリット・デメリットを確認したところで、今度はアウトソースしやすい情シスの業務内容を見ていきましょう。
ITインフラの構築
専門的な知見を要するインフラの構築については、ノウハウがないのであればアウトソースするほうが早いでしょうし、運用開始後の事故発生率も格段に低くなることが期待できます。
システム導入
ITインフラと同様に、専門知識を要するシステムの導入プロジェクトについても、アウトソースを検討し、知見を持つパートナーとのプロジェクト推進を検討するのが良いでしょう。
システム運用・保守
システムの運用・保守では、何かインシデントが発生した場合でも「常に誰かがいて対応できる体制」が求められます。自社で要員を確保してシフトを組んで管理をするとなると、先述した人的コストが増える要因にもなると言えます。よって、システム運用・保守についても、アウトソースすべき業務の一つと言えるでしょう。
ヘルプデスク
主に従業員からの問い合わせ対応を担うヘルプデスク業務をアウトソースするのも良いでしょう。この際に、期間を定めてアウトソースするのも手です。たとえば新入社員が増える時期だけアウトソースすることで、パソコンの設定やトラブルシュート対応がスムーズに進むことが期待できます。
情シス業務をアウトソースする際のポイント
最後に、情シス業務をアウトソースする際のポイントを3点お伝えします。
アウトソース先の実績のチェック
情シス業務をアウトソースする際は、アウトソース先の実績を十分にチェックするようにしましょう。ホームページ以外にも、たとえば口コミサイトなども確認し、どのような評価が利用ユーザーからなされているのかも要チェックです。
特定のメーカー等に左右されていないかの確認
会社によっては、特定のメーカーに偏ってシステムやネットワークの代理店販売契約等をしているケースがあります。自社にとってたまたまメリットのあるメーカーであれば良いのですが、そうでない場合は「押し売り」の被害にあってしまいますので、特定のメーカー等に左右されていないかの確認も大切です。
対応範囲やオペレーションフローの明確化と設計
情シス業務をアウトソースする場合には、冒頭でお伝えした様々な業務の中の「どこ」をアウトソースするのかを綿密に設計しましょう。また、「ここから先の業務をどちらが担うか」など自社とアウトソース先の役割分担を明確にした上で、適切なオペレーションフローを設計することも大切です。
ポイントを押さえて自社にとっての適切なアウトソース先を見つけよう
ここまでお伝えしたとおり、情シスはアウトソースを活用することで企業のIT戦略を大幅に加速させることができる一方で、アウトソース先との相性やナレッジ蓄積の問題などの注意点もあります。
今回ご紹介したポイントを押さえつつ、自社にとって必要なアウトソース業務を見つけた上で、適切な業者を選ぶようにしましょう。
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