情シス部門の負担は増加している原因について解説をしてきました。このように毎日発生する業務は、セキュリティリスクも然り、従業員が安全に効率よく働くために必要不可欠なことと言えます。
しかし、情シス部門に求められている提供価値は、保守・運用、管理だけではなく、戦略的なデジタル活用による働き方の変容やビジネス構造の変革も含まれます。
DXの文脈では、このような社内向けのインフラ構築や生産性向上の取り組み、業務フローの変革などを「守りのDX」と表現します。文字通り、デジタル活用によってこれまでの働き方をトランスフォーメーション(変容)していくことを指します。
前述の調査結果の今後力を入れたい施策でも、「コア業務への転換・専念」、「IT人材不足対策」が上位となっていました。本来、企業も情シス部門も攻めのIT活用に注力したいと考えているのですが、現状なかなか着手できないジレンマが発生しています。
情シス部門が人材不足の対策をして、コア業務に専念するにはどのような解決策が考えられるでしょうか。
DX・IT人材は枯渇しており、採用は難しい
もっともシンプルな解決策は採用で補うことですが、国内ではDX・ITの深刻な人材不足となっています。新卒採用で高いスキルを持った人材に対して、年収1000万円を提示する企業も現れて話題になるなど、獲得競争は激化の一途を辿っています。そのため、希望通りのタイミングと採用コストで人材を獲得するのは容易ではないでしょう。次のステップでまずは業務を整理してみてはいかがでしょうか。
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①情シスのコア・ノンコア業務を特定する
まずは現在の情シス部門の業務を洗い出してみましょう。発生頻度や重要度、定型・非定型などの項目と工数、その業務を遂行するのに必要なスキルと知識などが判断できると良いです。
同時に将来的な経営ビジョンや働き方の理想像、DXのロードマップも用意しましょう。現状把握をして、情報システム部門で着手できていない業務に優先順位をつけます。
②情シス以外の人材も育成・活用する
提携業務で重要度が低く、特別なスキルや知識がさほど必要の業務は情シス部門以外の任せてみるのも解決策のひとつです。同時に育成の視点も交えて、従業員のデジタル・ITリテラシーの向上も見据えられるとベストです。ただし、育成コストもかかるので一時的に情報システム部門の負担は増します。
③ITアウトソーシングを活用して、DXを推進する
社内人材の活用は企業事情によっては難しかったり、育成は中長期の視点も必要となります。そのため、コア・ノンコア業務の整理した後に、一定の作業を丸ごとアウトソーシングするのも有効です。短期間で社内の情報システム部門のリソースを空けることができ、専門人材に業務を任せることもできるので運用面の心配もありませんし、最先端のデジタル技術や知識を得られることもあります。
結果的に、社内の情報システム部門はコア業務や未来へのDXへの取り組みに注力することが可能となります。
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