新型コロナウイルスの感染拡大やDX推進の加速により、我々の働き方は大きく変容しています。もっともイメージつきやすくインパクトがあったのは、テレワークの実現でしょう。

毎朝出社しなくても、ノートPCを開くと業務を始めることができ、在宅勤務、サテライトオフィス、カフェ、もしくは旅行先でもモバイルデバイスとクラウドサービス、通信環境があれば、仕事ができるようになりました。

モバイルデバイスの数も増え、持ち運びが容易になった分だけ、セキュリティのリスクは増大しています。

この記事では、情報システム部門のデバイス管理に焦点を当てながら、業務に与えるメリットとリスク、そしてDX推進における情シスのジレンマとその解決策について模索します。

目次

スマートデバイス、モバイルデバイスの業務利用が拡大

クラウドサービスの台頭とパフォーマンス向上により、スマートフォンを筆頭にしたモバイルデバイスの業務利用の範囲は拡大し続けています。一般社団法人 情報システムユーザー協会(JUAS)が発表した「企業IT動向調査報告書2021」によると、「スマートフォンなどのスマートデバイスを従業員に支給している」の問いに対して、2019年度と2020年度を比較したのが下記の表となります。

2019年度 2020年度
ほぼすべての従業員が利用 15.2% 15.7%
特定の条件を満たした従業員が利用 4.5% 42.3%
一部の部署の従業員だけが利用 55.9% 26.6%
施行・検討している 7.4% 3.5%
実施・検討していない 16.9% 11.9%

引用:一般社団法人 情報システムユーザー協会「企業IT動向調査報告書2021」をもとに作成

特定の条件もしくは制限付きが利用できると回答している企業を足した結果は、2019年度が75.6%。2020年度は84.6%と微増という結果ですが、「特定の条件を満たした従業員が利用できる」が10倍近くに増加しています。

また同調査によると、「VPN(仮想私設網)を使って社内LAN・社内システムを利用できる」が、33%から69.9%に。「会社のPCを持ち出して社外で仕事ができる」が30.9%から70.4%に大幅に増加しています。

テレワークやコロナ禍におけるワークスタイルの変容により、デスクトップからノートPC、スマートフォンやタブレットの利用率の増加などモバイルデバイスの使用が高まっていることがわかります。

情報システム部門の仕事内容の変化

このようにモバイルデバイスの業務拡大により、企業のI Tや情報システム部門の仕事内容にも変化が起きています。株式会社ソフトクリエイトが行った「情報システムの現状とIT活用実態アンケート 2021」によりますと、「新型コロナウイルス感染拡大の以前・以降で業務内容が変わったか」という問いに対し、60.5%が「テレワーク環境など新しい働き方を提案する機会が増えた」と答え、3つづいて9.8%が「セキュリティ対策が増えた」、29.5%が「ノンコア業務が増えた」と答えた割合が多くなっています。

この結果は、端末数の増加と同時に、モバイルデバイスを活用して生産性向上を図るために、各企業は複数のクラウドサービスも導入していると予想され、端末管理、アプリケーション管理、セキュリティ対策などの業務のほか、ヘルプデスク対応なども増加したと考えられます。

また「情シスがもっとも注力したい活動」という設問に対しては、「テレワーク対策」(46.6%)、「コア業務への転換・専念」(41.4%)、「IT人材不足対策」(37.9%)となっており、各企業でIT人材が不足しており、守りの作業に忙殺され、攻めの業務に集中できていない実像が見え隠れします。

[1]……株式会社ソフトクリエイト「情報システムの現状とIT活用実態アンケート 2021」

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テレワーク・DX時代の情シス部門の課題と対策

つづいて、先ほど軽く触れましたが、情シスが具体的にどのような作業に発生しているのか、を解説し、またこのような状態に対策しなければ企業にどのような影響が考えるのか、について言及していきます。

複雑化した端末管理

1人の従業員がノートPC、タブレット、スマートフォンの3台を使用する例も珍しくなく、モバイルデバイスの業務利用が拡大しているのはこれまで説明してきた通りです。従業員にとってはより便利で生産性向上を見込めますが、情シス部門は導入前・導入後で多くの作業が発生します。

【デバイスの導入前後で発生する具体的な作業】

端末選定までの検討・調査、ルール・ポリシーの策定、アプリケーションのインストールや初期設定などのキッティング、ライセンス管理、利用状況の監視、故障や修理など 解決策として一般的なのは、MDM、EMMなどのツールを導入による業務効率化ですが、ひとり情シスなど1人あたりが対応する作業量が多いと毎日発生する業務に追われてしまうことになります。

関連記事:MDM(モバイルデバイス管理)とは? EMM、MCM、MAMとの違いとともに解説

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サポート・ヘルプデスク対応

端末増加とクラウドサービスなどアプリケーションの増加に伴い、爆発的に増えるのが問い合わせなどのヘルプデスク、サポート対応です。

多くの企業が従業員のデジタルリテラシーの向上、ノウハウやマニュアルの展開をしているケースが多いですが、テレワーク下では従業員それぞれの環境も異なるため、画一的な対応がしにくくなっています。従業員は新しいソリューションにも慣れて使いこなせるようになるため、一定の期間が必要です。せっかく導入したものの、使いこなせなければ本末転倒となってしまうため、従業員のサポートやヘルプデスクは心理的安全性を確保するためにも対応が必須と言えます。

これから情シスに求められる役割は攻めのIT活用

情シス部門の負担は増加している原因について解説をしてきました。このように毎日発生する業務は、セキュリティリスクも然り、従業員が安全に効率よく働くために必要不可欠なことと言えます。

しかし、情シス部門に求められている提供価値は、保守・運用、管理だけではなく、戦略的なデジタル活用による働き方の変容やビジネス構造の変革も含まれます。

DXの文脈では、このような社内向けのインフラ構築や生産性向上の取り組み、業務フローの変革などを「守りのDX」と表現します。文字通り、デジタル活用によってこれまでの働き方をトランスフォーメーション(変容)していくことを指します。

前述の調査結果の今後力を入れたい施策でも、「コア業務への転換・専念」、「IT人材不足対策」が上位となっていました。本来、企業も情シス部門も攻めのIT活用に注力したいと考えているのですが、現状なかなか着手できないジレンマが発生しています。

情シス部門が人材不足の対策をして、コア業務に専念するにはどのような解決策が考えられるでしょうか。

DX・IT人材は枯渇しており、採用は難しい

もっともシンプルな解決策は採用で補うことですが、国内ではDX・ITの深刻な人材不足となっています。新卒採用で高いスキルを持った人材に対して、年収1000万円を提示する企業も現れて話題になるなど、獲得競争は激化の一途を辿っています。そのため、希望通りのタイミングと採用コストで人材を獲得するのは容易ではないでしょう。次のステップでまずは業務を整理してみてはいかがでしょうか。

◎「DX 人材」の記事を内部リンク

①情シスのコア・ノンコア業務を特定する

まずは現在の情シス部門の業務を洗い出してみましょう。発生頻度や重要度、定型・非定型などの項目と工数、その業務を遂行するのに必要なスキルと知識などが判断できると良いです。

同時に将来的な経営ビジョンや働き方の理想像、DXのロードマップも用意しましょう。現状把握をして、情報システム部門で着手できていない業務に優先順位をつけます。

②情シス以外の人材も育成・活用する

提携業務で重要度が低く、特別なスキルや知識がさほど必要の業務は情シス部門以外の任せてみるのも解決策のひとつです。同時に育成の視点も交えて、従業員のデジタル・ITリテラシーの向上も見据えられるとベストです。ただし、育成コストもかかるので一時的に情報システム部門の負担は増します。

③ITアウトソーシングを活用して、DXを推進する

社内人材の活用は企業事情によっては難しかったり、育成は中長期の視点も必要となります。そのため、コア・ノンコア業務の整理した後に、一定の作業を丸ごとアウトソーシングするのも有効です。短期間で社内の情報システム部門のリソースを空けることができ、専門人材に業務を任せることもできるので運用面の心配もありませんし、最先端のデジタル技術や知識を得られることもあります。

結果的に、社内の情報システム部門はコア業務や未来へのDXへの取り組みに注力することが可能となります。

◎「マネージドサービス」「IT アウトソーシング」の記事を内部リンク

社内情シスの役割を再定義する

ビジネス構造や働き方の大きな変わり目を迎えている現在、これまでの情報システム部門の役割も再定義するタイミングです。

社内人材が注力すべき分野、社外人材を活用する分野を改めて整理することで、情報システム部門のポテンシャルを最大限に発揮でき、そのことが企業のDX推進に寄与するはずです。

コネクシオでは、課題の整理、プランニング、最適なデバイス、ツール、ソリューションの選定・調達から、運用後のサポートまで一貫して支援するマネージドモバイルサービスを提供しています。

DX推進を進めたい、生産性に課題を感じてらっしゃる場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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