コスト削減のポイント。変化する時代の効率的な働き方や業務とは
企業にとってコスト削減は永遠の課題です。オフィスの維持から人の採用まで、企業活動を進めるにあたってさまざまなコストが存在し、各種トレードオフを鑑みながら取捨選択を行っていることでしょう。
特にコロナ禍をはじめ、先行きが不透明な時代に突入しているからこそ、経営者や事業責任者としては本質的なコストだけを残したいはずです。
そこで本記事では、企業活動にかかるコストの種類と、それらに対する削減のアプローチ例について、それぞれご紹介します。
目次[非表示]
- 1.企業活動にかかるコストの種類
- 1.1.オフィス維持にかかるコスト
- 1.1.1.オフィスコスト(賃料/用品/消耗品/水道光熱費)
- 1.1.2.エネルギーコスト
- 1.2.ITコスト
- 1.3.人件費
- 1.3.1.現物給与総額
- 1.3.2.人材採用費
- 1.3.3.教育研修費
- 1.3.4.それ以外(法定福利費、退職金など)
- 1.4.コミュニケーションコスト
- 2.テレワークの労働時間について
- 2.1.オフィス維持にかかるコストの削減
- 2.1.1.オフィス移転・縮小とテレワーク/ハイブリッドワーク活用の検討
- 2.1.2.OA機器やPCのレンタル活用
- 2.2.ITコストの削減
- 2.2.1.クラウドサービスの活用
- 2.2.2.固定電話からクラウド電話への移行
- 2.3.人件費の削減
- 2.3.1.定着率の向上に向けた各種施策
- 2.3.2.アウトソースの検討
- 2.4.コミュニケーションコストの削減
- 3.分析と改善のPDCAサイクルが大切
企業活動にかかるコストの種類
まずは企業活動にかかるコストを分類してご紹介します。大きくは「オフィス維持にかかるコスト」「ITコスト」「人件費」「コミュニケーションコスト」の4つに分類できます。
オフィス維持にかかるコスト
企業が所有もしくは借りているオフィスの維持にかかるコストについて見ていきましょう。
オフィスコスト(賃料/用品/消耗品/水道光熱費)
オフィスコストとは、オフィスを維持する上で必要となるランニングコストのことです。賃料のほか、プリンターや電話機、コーヒーメーカーなどのリース代や、事務用品などの消耗品等の購入代金があげられます。
エネルギーコスト
エネルギーコストとは、水道光熱費や車両等のガソリン代などがあげられます。これらは物理的な企業活動においてなくてはならない「ランニングコスト」となります。
ITコスト
続いては、年々予算が増えているであろうITコストです。大きくはハード費用とソフト費用に分けられます。
ハード費用
ハード費用には、たとえばパソコンやスマートフォンなど各種デバイスの購入代金・リース代のほか、サーバーの購入代金や、それにまつわるメンテナンス費用などがあげられます。
ソフト費用
上述した「器」のコストのほかに、中身となるソフトウェアやアプリケーションの購入および利用代金がソフト費用となります。一般的に業務利用されるソフトウェアのほかに、ハードにインストールするOSやファームウェアなども、このソフト費用に含まれます。
人件費
企業にとっては人件費も、重要なコストとなります。
現物給与総額
まずは、給与や賞与などの現物給与総額があげられます。こちらは企業側である程度調整ができるものの、短期間での大幅な変動はさせにくい性質のものとなります。
人材採用費
企業にとって、優秀な従業員を雇うことは至上命題です。人材採用費は、中長期的な会社の未来を考えるにあたり、特に重要なコストの一つだと言えるでしょう。人材紹介会社や転職サイト、ダイレクトリクルーティングサービスなど、企業の成長に必要な人材の確保に向けた活動は、全てこの人材採用費となります。
教育研修費
せっかく優秀な人材を採用できたとしても、適切な教育・成長機会がなければ、その人材はすぐに離職してしまうでしょう。オンボーディングや研修、eラーニング、そのほか外部の学習機会への補助など、知識・スキル等の習得に向けた教育機会の設置については、この教育研修費となります。
それ以外(法定福利費、退職金など)
その他、たとえば福利厚生に関するコストや、退職金制度のコストなども存在します。休暇制度や退職金制度は会社の一存で変更が難しい物である一方、福利厚生はある程度柔軟に内容を変えるなどしてコスト調整は可能でしょう。
コミュニケーションコスト
もう一つ、明確な現金計上ができないという観点でこれまでご説明した項目とは少しレイヤーが異なる内容となりますが、従業員同士による「コミュニケーションコスト」も、コスト削減を考える際には重要なトピックの一つとなります。
コミュニケーションコストとは、従業員同士の情報伝達や意思疎通にかかる時間や労力のことを指します。コミュニケーションコストが高いということは、それだけ業務の効率性が低いということになります。
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テレワークの労働時間について
続いては、ここまで見てきたコストの削減に向けたアプローチ例の一部をご紹介します。
オフィス維持にかかるコストの削減
オフィス維持にかかるコストの削減としては、「オフィス移転・縮小とテレワーク/ハイブリッドワーク活用の検討」と「OA機器やPCのレンタル活用」を取りあげます。
オフィス移転・縮小とテレワーク/ハイブリッドワーク活用の検討
コロナ禍を経て、オフィスの機能を再考する企業は多いでしょう。今後のテレワークやハイブリッドワークの実施を想定しているのであれば、オフィスの移転や縮小を検討する必要があります。
従来のオフィスは、企業に所属する全従業員が「通勤」することを想定して設計されていました。それに対してテレワークやハイブリッドワークを導入すると、物理的に通勤する人数が少なくなることから、従来の全員通勤時代に設計したオフィス空間は、必ずしも必要ではなくなります。
思い切って小規模なオフィスや郊外のオフィスに移転するという選択肢が考えられます。その場合、圧倒的なコストメリットがあると言えるでしょう。
ハイブリッドワークや新しい働き方については、以下の記事もご参照ください。
関連記事:ハイブリッドワークとは? 新しい働き方を実現するための注意点・ポイントを解説
「新しい働き方」とは? ウィズコロナ時代に求められる打ち手や具体事例、推進のためのポイントを解説
OA機器やPCのレンタル活用
これまでOA機器やパソコンを自社で購入していた場合、レンタルへと切り替えるのも選択肢の一つです。
レンタルにすれば初期費用を大幅に抑えることができるため、特に直近のキャッシュが必要なスタートアップなどには有効な施策と言えます。
なお、オフィス維持にかかるコストの削減については、以下の記事でより詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事:オフィスのコスト削減方法とは? 固定費を削減する7つの方法
ITコストの削減
続いてはITコストの削減についてです。ここでは「クラウドサービスの活用」と「固定電話からクラウド電話への移行」について取りあげます。
クラウドサービスの活用
これまでオンプレミス(オフィスなどの施設内にサーバー機器等を設置してITリソースを自前運用すること)でITサービスを運用している場合、それらの一部または全部をクラウドサービスへと切り替えるのもコスト削減に有効です。
クラウドサービスを活用することで、ITリソースの利用・導入における柔軟性の向上が期待でき、結果としてオンプレミスと比較して圧倒的なコストメリットを享受できる可能性があります。
そのほかにも、クラウドサービス活用には以下のメリットがあります。
- 可用性の向上
- セキュリティの最適化
- ビジネス環境への適応力向上
- 生産性向上
詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご確認ください。
政府提唱の「クラウド・バイ・デフォルト原則」とは? 企業視点で解説
固定電話からクラウド電話への移行
オフィスで固定電話を使っている場合、それらをクラウド電話へと移行すると、コスト削減につながる可能性が高いです。
一般的なオフィスでは「PBX(Private Branch eXchange:機内交換機)」を活用することが多いと思いますが、固定電話のPBXを使う場合は場所が制限されるため、一定数のメンバーによる物理的な出社が前提となります。つまり、せっかく前述したテレワークやハイブリッドワークを導入しても、電話対応のための出社は残ってしまうことになります。
これに対してクラウドPBXへと移行すると、運用・保守の工数が削減され、イニシャルおよびランニングコストの削減が可能となります。
以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事:PBXとは?電話交換機の仕組みと機能、使い方を理解して生産性向上を目指す
クラウドPBXとは? 仕組みやメリットを把握し、働く場所を柔軟に
人件費の削減
人件費の削減については、「定着率の向上に向けた各種施策」と「アウトソースの検討」の2点をご紹介します。
定着率の向上に向けた各種施策
日本では労働力人口の減少が進んでいることから、新規採用以上に「従業員の定着率」を高めることが大切です。よって厳密には、人材採用費の削減ではなく、人材採用に充当していたコストを既存人材への投資に回すという考え方になります。
その前提で、昨今では性別や年齢によって採用や雇用後の扱いを区切らない柔軟な企業姿勢が求められています。たとえば男女別のお手洗いや更衣室を導入したり、産休・育休の制度を整備したりと、定着率を高める工夫が必要となります。
また高齢者の雇用に関しても同様のことが言えます。再雇用は企業文化や業界を熟知した人材を、コストをかける必要なく採用できるメリットがあります。働きやすい環境作りを行えば、専門知識をもった高齢者から高いパフォーマンスを最大限に引き出せるでしょう。
さらに、個々の裁量を最大化する働き方として「ABW(Activity Based Working)」という考え方もあり、こちらも定着率の向上と中長期的な人件費の削減に寄与します。詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:持続可能な働き方ABWとは? 概念や定義、メリットを解説
アウトソースの検討
企業規模や委託範囲にもよりますが、専門人材を獲得して業務を内製するよりも、専門の商品・サービスを提供する外部企業へとアウトソースをする方が、結果として人件費を抑えることにつながる可能性があります。
たとえばシステムの保守や運用、サポートなど、自社のノンコア業務を社内対応するよりも、アウトソーシングをした方が費用対効果は高くなります。
もちろん、そのトレードオフとして社内になかなかノウハウが溜まらないというデメリットもあるため、バランスを加味した検討が必要でしょう。
アウトソーシングの詳細については以下の記事もご覧ください。
関連記事:DX推進の鍵となるITアウトソーシングとは?活用におけるメリットと注意点
コミュニケーションコストの削減
コミュニケーションコストの削減についてもさまざまな施策がありますが、ここでは「ルールの統一化」と「ツールの導入」の2点についてご説明します。
ルールの統一化
電話やメール、チャット、ビデオ通話など、社内にさまざまなコミュニケーション手段が散在していると、それだけでコミュニケーションコストは増大します。メインで使うコミュニケーション手段をある程度統一し、煩わしさをなくすことで、コミュニケーションコストの削減が期待できます。
その上で、それらの使い方を示すコミュニケーションルールを策定することが大切です。通知や連絡する時間、言葉使いなど一定のルールを設けることで、無駄なコミュニケーションコストを下げることができるでしょう。
ツールの導入
コミュニケーションツールを導入し、コミュニケーション機会そのものを創出するという方法があります。
具体的には、ビジネスチャットツールやオンライン会議システム、情報共有やタスク管理・勤怠管理をサポートするグループウェアなどが考えられます。
なお、コミュニケーションコストについては以下の記事で詳細を解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事:コミュニケーションコストとは? 増加する要因とその対策について解説
分析と改善のPDCAサイクルが大切
企業活動を行う上ではさまざまなコストが発生します。いずれも人による活動に付随したものであり、従業員のコミュニケーションやオペレーションに起因したコストの分析と改善のPDCAサイクルが特に大切となります。
コネクシオでは、「新しい働き方」に向けて、従業員の業務効率化を最大化し、生産性を向上させる様々なソリューションを提供しています。「人にまつわるコスト」で悩んでいる企業担当者は、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。
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