【ペーパーレス化の実態とは? 】実施状況からメリット、最新動向まで徹底解説!
「ペーパーレス化を進めよ」
2019年に政府主導で始まった働き方改革の一貫として、ペーパーレス化が注目を集めました。また新型コロナウイルスの影響で、テレワークやハイブリッドワークなど働く場所が多様化し、紙文章から電子データへの移行を余儀なくされた企業も多いでしょう。
一方、企業内での紙文化が根強く、現場メンバー間での運用も受け入れられない場合、ペーパーレス化は困難を極めます。
すでにあらゆるシーンで「働き方改革!DX!業務効率化!」が叫ばれている昨今。情報を紙ではなく電子データ(デジタル)で扱うことは、その後の業務フロー改善や各種クラウドサービスの導入に欠かせない要素です。
ペーパーレス化が一般化する未来はすぐそこまで迫っています。
今回はペーパーレス化の実施状況や必要性を踏まえ、概要の振り返りや手順まで網羅的にご紹介いたします。
目次[非表示]
ペーパーレス化の実施状況は?
出典元: 総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」
総務省が2020年に実施した調査によると、ICT化に関連する業務慣行の改善について「社内業務のペーパーレス化」が最も選択され約60%の企業が回答しています。
半数以上の企業でペーパーレス化が推進される背景には、政府の後押しがあります。主に下記の2点です。
- 「e-文書法」の施行(2005年):法人税法・会社法・商法・証券取引法などで保管が義務づけられていた文書・帳簿・請求書・領収書などにて、紙媒体だけでなく電子化した文書ファイル(電磁的記録)での保存を認める法律
- 「電子署名法」の施行(2001年):“契約合意の証拠”として、電子署名やタイムスタンプを有効とする法律
そのほか、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として急速に広まったテレワークやハイブリッドワークも、ペーパーレス化加速の要因と言えるでしょう。
紙ベースでのやりとりや決済は、言わずもがなテレワークとの相性が悪く、テレワークとペーパーレス化をセットで推進する企業が多かったことが予測されます。
事実、ペーパーロジック株式会社が公表した 「ペーパーレス化に伴う2021年度予算に関する意識調査」によると、コロナ禍でのペーパーレス化の推進状況について「積極的に行った」と「ある程度行った」という回答が合計75%以上の結果となりました。
関連記事: テレワーク導入後の課題や問題点をどのように解決するか?
ハイブリッドワークとは? 新しい働き方を実現するための注意点・ポイントを解説
■合わせて読みたいページ
ペーパーレス化と働き方改革・DXの関係
政府による法改正・働き方の変化など、ペーパーレス化が加速する流れは今後も続くと考えられますが、そもそもなんのために紙文書を電子データ化する必要があるのでしょうか?
ペーパーレス化の歴史を辿ると、企業による「働き方改革」が大きな転換点となっています。
2019年4月1日、日本の少子高齢化に伴う生産年齢人口の現象や一人当たり労働生産性の低さ、育児や介護の両立など働き手のニーズの多様化を受け、政府は「働き方改革関連法案」の一部を施行しました。
日本の社会構造や従来型のシステムを根本的に変えることを目的とした働き方改革を実現する手段として「ペーパーレス化」の重要性が広く浸透したのです。
そして昨今、あらゆる業界・業種で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が叫ばれ、デジタルツール・ソリューションの導入が急務となっています。
「働き方改革・DX」の実現は、企業が生産性向上・業務効率化を成し遂げ従業員のワークライフバランスを充実させるために欠かせない企業命題といえます。
ペーパーレスは働き方改革・DXの第一歩となる
DXの目的は「既存のビジネスモデルを変革し、生活者の暮らしを豊かにする」ことにありますが、画期的なビジネス・サービスの創出には人・時間など多くのリソースを要します。
限られた人材で最大限のパフォーマンスを発揮するには通常業務を効率化する「業務のデジタル化・業務フローのデジタル化」が欠かせません。具体的には業務遂行に必要な情報資産のデジタル化と情報共有や意思決定に伴う部署・部門間でのフローのデジタル化です。
お気付きの通り、それぞれ紙媒体での情報資産活用・やりとりには限界があり、ペーパーレス化が求められます。
DXの推進は結果的に働き方改革に寄与するため、ペーパーレス化はDX・働き方改革の実現に向けた企業対策の“第一歩”となるのです。
ペーパーレス化のメリットを再確認
では、ペーパーレス化が企業にもたらすメリットを改めて確認していきましょう。
1.コスト削減
文書を紙のまま保管するには、紙の購入費用・印刷代、さらには搬送や廃棄に関わる人件費など様々な経費が必要になります。文書をデータ化することで、紙文書管理コストを大幅に削減できます。
2.省スペース化
これまでオフィスに設置されたラックの大部分を占拠していた大量の文書。ペーパーレス化により、クラウドやオンプレミスサーバ、CDやUSBメモリなど格段に小さなスペース、もしくは物理的には”見えない”スペースでの保管が可能になります。また保管だけでなく、普段の持ち運びや移転時などの作業負担も軽減されるでしょう。
3.物理的な距離がなくなる
データ化した文書は管理システム内で検索をかけ簡単に探し出せます。目的の文書を膨大な紙の中から探し出すなど、従来の手間から開放されます。場所による拘束を受けないため、自宅・カフェ・オフィスのどこにいても好きな場所から文書の検索が可能になり業務効率につながります。また、同一文書を複数人で同時に閲覧できるため、離れた空間でもスムーズにやり取り・共有できます。
4.紛失防止と業務の効率化
書類を持ち出す機会が減るため、紛失や間違えて別のファイルに戻してしまう、といった大切な文書の行方不明状態も解消されます。またファイリングのために費やしていた時間と労力がなくなり、その分の人と時間を別の中核的業務に振り分けられます。
5.セキュリティの向上
重要文書の管理には、保管場所や保管方法、保管のためのルール作り、物理的な「施錠」など、時間と労力を費やしていました。電子データ化された文書は、パスワードの付与や閲覧権限の設定などにより、簡単かつ厳重に守ることができます。
6.BCP(事業継続計画)対策
地震や火災など万が一の災害時に、紙で情報を管理すると企業の機密情報やクライアント情報などを消失・破損・紛失する恐れがあります。一方、データは複製可能です。定期的にバックアップをとることで、復旧もスピーディーに行えます。
見落としがち?ペーパーレス化すべき「名刺」
ペーパーレス化の対象は、主に下記があげられます。
- ビジネス文書
- 会議資料
- パンフレットやカタログ
- チラシ等の販促物
ここでは、見落としがちな名刺のペーパーレス化についてご紹介します。
名刺のデータ化
名刺情報の多くは、営業個人の引出しの中に詰め込まれ、属人化している情報の最たるものです。
名刺のデータ化はスマホの無料アプリで実現でき、スマホのカメラで名刺を撮影するとOCRソフトによりテキストデータに変換されます。また、名刺専用のスキャナも各社から出ており、連続して数十枚の名刺を一度に読み込めます。
つまり、名刺をデータ化する仕組みは容易に入手できるのです。
読み込んだ名刺はクラウドに保存され、いつでもどこでも検索・閲覧できます。目当ての名刺を探すために、膨大な数の名刺を一枚一枚確認する必要はありません。
さらに有料サービスを利用することで、これまで個人に属していた情報が、組織に属する、つまり全社規模で情報の共有が可能になります。
例えば「アプローチしているA社のとあるキーマンと、自社の別部署の担当がすでに面識がある」あるいは「自社役員に接点があった」など、紙のままではわからない情報が、名刺データの共有により人脈を瞬時に判明できます
顧客情報を一元化することで、営業のアプローチが無駄なく最適に進むのです。
データ化した名刺情報には、企業の基本情報だけでなく、商談履歴やクレーム等の業務プロセス情報を紐づけることで、顧客のフォローアップに適切かつ迅速に対応でき、顧客満足度の向上にもつながります。
ペーパーレス化の最新動向
2022年1月、改正電子帳簿保存法が施行され、電子データで受け取った帳簿書類は電子データのまま保管することが義務づけられました。
従来、電子データで受け取った帳簿書類を紙に印刷して保管していた企業も、電子データでの保管が必須になります。まだペーパーレス化に取り組んでいない企業としては、実施・実現に向けた大きなチャンスとなるでしょう。
これから対応を検討している企業は、下記の点に留意してみてください。
- ペーパーレス化が必要な書類の整理
- スキャナー、タイムスタンプの検討
- 社内フロー、仕組みの変更
まずは自社内でペーパーレス化が必要な書類の整理から始めましょう。
自社作成の見積書・発注書・請求書・納品書などはスキャンやタイムスタンプが不要のためペーパーレス化しやすいです。
一方、他社作成の書類に関してはスキャンやタイムスタンプが必要なため、誰が・どこで・何人で対応するかも確認しておきましょう。
最後に、電子データの管理方法や社内フローの変更についても一定のルールを設ける必要があります。管理しやすいフォルダ構成、ファイル名の統一化、データへのアクセス権限など、どこでも閲覧・検索可能な電子データだからこそ、運用管理が煩雑化しないよう徹底してください。
ペーパーレス化への対応は時間の問題
スマホなど携帯端末の高機能化、アプリの充実、クラウドサービスの拡大により、これまで紙のままで保存していたものが、データ化することで業務の効率化や生産性は飛躍的に向上するでしょう。
社会全体が働き方改革・DXの推進に向かい動く中、企業のペーパーレス化は必然の対応となります。
まずはすぐに着手できそうな書類から対応し、全社での推進を検討してみてください。
■合わせて読みたいページ