BCMを解説!BCP、BCMSとの違いや構築のためのステップ

とくに日本は、地震や水害など自然災害が頻繁に発生するからこそ、不測の事態であっても事業を継続する計画を立てておくことは必要不可欠です。さらに重要なのは、計画を立てるだけではなく実際に運用していくことでしょう。
今回は、全ての企業が計画・運用すべき活動「BCM」について、混同されやすいBCPやBCMSとの違い、構築のステップなどを解説します。
BCMとは「Businees Continuity Management」の意味で、「事業継続マネジメント」と訳されます。冒頭に記載したようなインシデントが発生したときに、被害を最小限におさえて可能な限り事業が継続するように行うマネジメント活動のことを示します。
BCMには、標準的に定義された規格が存在します。以下、2つのBCM規格を見ていきましょう。
「ISO 22301」は、スイス・ジュネーブに本部を置く非政府機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」が設定する国際規格です。業種や業界は関係なく、さまざまな組織において認証の取得と利用ができます。
一般財団法人日本品質保証規格では、ISO 22301を以下のように定義しています。
「ISO 22301は、事業継続マネジメントシステム(BCMS)に関する国際規格です。 地震・洪水・台風などの自然災害をはじめ、システムトラブル・感染症の流行・停電・火災といった事業継続に対する潜在的な脅威に備えて、効率的かつ効果的な対策を行うための包括的な枠組みを示しています。」
引用:一般財団法人日本品質保障規格「概要 | ISO 22301(事業継続) | ISO認証 | 日本品質保証機構(JQA)」
「BS 25999」は、英国規格協会(BSI)が発行するBCM規格です。前述のISO 22301は、BS 25999を参考にして作成されています。
2006年11月に実践規範となるPart 1(BS25999-1)が、2007年11月には、後述するBCMSのための要件となるPart 2(BS25999-2)がそれぞれ発行されました。
BCMと似た用語に「BCP」があります。BCPとは「Business Continuity Plan」の意味で、「事業継続計画」と訳されます。文字通り、インシデント発生時の行動計画を表したドキュメントのことを示し、その発動基準や発動時の体制、対応手順などが明記されるものです。
BCPが有事の際の計画ドキュメントであるのに対して、BCMは企業の活動を継続・改善するためのプロセス全般を示します。つまり、BCMはBCPを包括した存在であり、BCPの出来が、そのまま適切なBCMにつながるといえるでしょう。
もしものときの被害を最小限におさえ、事業を継続できる体制を整えておくことは、自社のみならずさまざまなステークホルダーへの信頼の担保にもなります。
たとえば大規模災害が発生した場合にBCPが適切に策定されていないと、製造業においては部品の調達計画が狂ってしまい、サプライヤーからの部品やサービスの提供がままならなくなってしまいます。あらかじめ有事の計画を立案すれば、調達の代替手段へとスムーズに切り替えることができるでしょう。
さらにBCMが適切に遂行されなければ、せっかく立てた計画(BCP)も意味をなしません。インシデントが発生した場合、スムーズにBCPに沿った対応が進むようにBCMを構築していくことが必要不可欠です。
それではBCMの構築ステップを説明していきます。ここでは、BCPを策定した後のステップについてご紹介します。
まずは策定したBCPに沿って、従業員に対する教育と、必要に応じて実際のシチュエーションを想定した訓練を実施しましょう。有事にいきなり本番としてBCPを運用しようと思っても、うまくいく保証がありません。基礎訓練はもちろん、判断・意思決定訓練や、部門間の連携訓練など、さまざまなケースに応じてレベルを変えていくと良いでしょう。
従業員が、BCPやBCMの概念と内容を適切に理解し、各々が自分ごと化して役割に応じた行動へと移せるようになることが、BCP教育と訓練の目的となります。
前述した訓練とは別に、実際のケースを想定した運用テストの実施も必要です。たとえば新型コロナウイルスのような感染症のパンデミックを想定した場合に、各サプライヤーおよび協力会社への対応要請や、従業員へのアナウンス、緊急時の配置計画に準ずるクロストレーニングなど、各ケースに応じた運用テストの実施が、BCPに沿ったアクションの成功確率を高めることになります。
BCMは、一度やったら終わりではなく、常に評価と改善のフィードバックループを繰り返すことで機能します。そのためにも、経営層を含めた社内メンバーのみならず、第三者による監査などを通じて、BCPそのものの見直しとそれに伴う教育・訓練・運用テストの改善PDCAを繰り返していきましょう。
以上のようなBCMのPDCAサイクルを、効果的かつ効率的に運用できているのかをレビューする経営手法が「BCMS」となります。これは「Business Continuity Management System」の頭文字をつなげたもので、日本語で「事業継続マネジメントシステム」と訳されます。
BCMSを採用することで、先述したとおり、有事の際のBCPに沿ったコンティンジェンシープラン発動がスムーズになり、対応の成功確率が高まることになります。
今回は、全ての企業が対応すべきBCPについて、BCPやBCMSとの違い、BCMが重要な理由、構築のステップなどについて解説しました。方針は策定して終わりではなく、いざというときにしっかりと運用できるよう、継続的な見直しと改善が必要です。
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