株式会社ソラコムは、2023年版 見回り・点検業務のDXに関する実態調査を発表しました。今回の調査では、見回り・点検業務のリモート化やリアルタイム化、省力化、結果の共有といった課題において、IoTを活用することで効果が得られることが見えてきました。
ソラコム、見回り・点検業務のDXに関する実態調査を実施 4割強が「紙」で点検業務を管理、IoT活用によるリモート化、自動化が切り札に
調査概要
労働人口の減少といった社会課題や、新型コロナウイルスによる影響下で、物理的移動を避けて非接触を推奨する業務変化にあり、これまでは現地で作業せざるを得なかった現場業務においてもデジタル化が着実に進んでいます。より身近になったIoT等のテクノロジーの進化により、ペーパーレスやリモート点検は導入しやすくなっています。
株式会社ソラコムでは、現場業務のひとつである「見回り・点検業務」について、体制や課題、アフターコロナでの業務の変化、IoT活用の状況とその効果などに関する実態調査を実施しました。
調査結果のトピックス
- 約70%が複数拠点を管轄するも、兼任体制で紙やExcelを駆使して管理を行っている
- 基本的に現地に赴かねばならず、工数がかかってしまっている
- 半数が人的ミスやそれに起因するトラブルを経験している
- 40%は業務にIoTを活用するも、全社導入は10%強
- 現場業務のDXは、リモートワークなど他の項目に比べて遅れている
- IoTを導入しない理由は、予算や費用対効果が見えないため
本調査では、事前の調査で、設備や機器、施設、森林や河川、在庫・資材その他の見回り・点検業務に関わっていると回答した241名を対象に調査を実施しました。
約70%が、2拠点以上の複数拠点で見回り・点検業務を行っており、約3分の2が「他の業務と兼任」。40%以上が、「紙」で見回り・点検業務を管理していると回答。
見回り業務の拠点数について聞いたところ、最も多かったのは「2~5拠点」で34.9%、2拠点以上の合計は69.3%と約7割にのぼります。見回り・点検業務の体制について、「専任の担当を設けている」と回答したのは38.2%。一方で、約3分の2にあたる61.8%が「他の業務と兼任で行っている」と回答しました。
見回り・点検業務の実施状況や結果の管理方法については、「Excelやスプレッドシートで行っている」が55.6%でトップとなり、次いで「紙で行っている」が46.1%となりました。また、兼任で業務を行っている企業ほど「専用のシステム・アプリで管理している」比率が低く、システム化が遅れているという結果となりました。
他の業務と兼任しながらも、見回り・点検業務に付随する紙による管理や、Excelやスプレッドシートへの入力といった業務が発生していることが伺えます。
2)見回り・点検業務における課題、1位は「現地に行く必要がある」こと。半数が見回り・点検の人的ミスやそれに起因するトラブルを経験。約30%がコロナ禍でワークフローを見直し。
見回り・点検業務における課題について聞いたところ、上位は「現地まで行かなければならない」(26.1%)や 「リアルタイムでチェックができない」(22.8%)といった即時対応の難しさについて指摘する声が挙がりました。
また、拠点数が多い企業に特徴的なのが、「点検後のレポートや書類を書くのが手間」「工数がかかり他の業務を圧迫している」「点検結果の共有がしにくい」などの見守り・点検業務の管理体制による負担に関する回答です。
見回り・点検業務における人的なミスやチェック漏れ、あるいはそれに起因するトラブルが過去にあったかを聞いたところ、50.2%が「ある」と回答しました。
新型コロナウイルス感染症拡大による見回り・点検業務における影響については、27%が、「見回り・点検業務のワークフローを見直す必要に迫られた」と回答し、拠点が多いほど、「回数を減らさざるを得なかった」「遠隔地の見回り・点検が困難になった」という回答が多く寄せられました。
見回り・点検業務には以前から、リモート対応やリアルタイムでの共有といった管理上でのデジタル化の必要性がありましたが、コロナ禍を経てその必要性が高まったことがわかります。
3)IoTを活用して見回り・点検業務を自動化しているのは4割強、効率化や正確性の向上などの効果を実感
点検用のカメラやセンサーなど、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)による見回り・点検業務の自動化に関する取り組みについては、「全社的に導入している」は14.5%にとどまり、「一部の部門で導入している」と回答した人を含めると合計で45.2%となり、4割強がIoTを点検業務に活用していることがわかりました。
実際にIoTを導入していると回答した人にその効果を聞いたところ、「リモートでも点検ができるようになった」が40.4%、次いで「点検の工数(時間)が削減できた」、「チェック漏れなどが減り見回り・点検業務の品質が向上した」がそれぞれ34.9%という回答を得られ、業務改善の効果を実感していることが分かりました。
回答内容から、IoTの導入は事業部単位など現場主導で進んでいると推測されますが、実際に導入した現場では、見回り・点検業務の効率化や正確性の向上といった効果が得られているようです。
まとめ:見回り・点検業務における、IoT活用のメリット
今回の調査では、見回り・点検業務のリモート化やリアルタイム化、省力化、結果の共有といった課題において、IoTを活用することで効果が得られることが見えてきました。ソラコムでは本調査の詳細をホワイトペーパーとしてご提供しています。詳細をご覧になりたい方は、以下よりご登録下さい。
https://soracom.jp/dl-mimawaritenken_survey/
調査概要
調査対象:事前の調査で、設備や機器、施設、森林や河川、在庫・資材その他の見回り・点検業務に関わっていると回答した、20代~50代の経営者・役員、公務員、会社員
調査期間:2023年1月10日(火)~2月2日(木)
調査方法:インターネットリサーチ
回答者数:241名