株式会社セールスフォース・ジャパンは、「2023年版 接続性ベンチマークレポート」の日本語版を発表しました。
最新データによると、組織内のビジネスアプリケーションの数は過去1年間で10%近く増加し、平均で1,000を超えました。しかし、他アプリケーションやシステムと連携されているのは29%に過ぎず、コストの上昇、作業の重複、生産性の低下、エクスペリエンスの切断の原因となるデータサイロを生み出しています。
本調査は、こうした課題をより良く理解し、経済の不確実性が高まる中で成功を目指して組織に何ができるかを明らかにするため、セールスフォースがMuleSoft事業の一環として、1,050人のITリーダーを対象に実施しました。
Salesforce、「2023年版 接続性ベンチマークレポート」を発表
各部門のリーダーの効果的な投資が、IT部門のデリバリーを改善
事業部門のリーダーは、IT 部門に今まで以上に多くのことを要求しています。実際、企業の平均IT 投資額は1,170万ドル(約16億円)にまで増加。一方、今年、事業部門からリクエストされたプロジェクトのすべてを計画どおりに完了できたIT部門が増加しています。
- ITインフラストラクチャの合理化は進み、自社のITインフラに手を加えることが難しいと感じている企業は大幅に減少しています。「変更を加えるのが難しい」と回答したのは54%(昨年は74%)、「新しいテクノロジーを導入するのは難しい」と回答したのは54%(昨年は70%)でした。
- IT部門は、より多くのプロジェクトを計画通りにデリバリーできるようになりました。48%の回答者が「リクエストされたすべてのプロジェクトを予定どおりに完了させた」と回答。昨年の44%から増加しました。
- この1年間、企業は1,170万ドル(約16億円)をITスタッフに費やしました。ほとんどの企業(78%)が「IT予算は今後も増え続けるだろう」と予想しています。
DXに失敗した場合のコストは、かつてないほどの規模に
ほとんどの企業でDXは進展しています。一方、DXのリスクがかつてないほど大きくなっていることも事実です。企業がDXイニシアティブを完了できなければ、一企業あたりの損失額の平均は950万ドル(約13億円)になると予測されています。
- カスタマーエクスペリエンス(CX)はビジネスの成功にとって最も重要な指標のひとつとなりました。現在、顧客との接点の 72%はデジタル化されています。
- 69%の企業は「予想以上に早いスピードで自社の DX が進んでいる」と回答。「DX の進捗が予想よりも遅れている」と回答した企業は、わずか 10%でした。
- DX イニシアティブに失敗したときのコストは大幅に増加しています。失敗したときの損失額は、950 万ドル(約 13 億円)にものぼると予想されており、昨年の予想金額 680 万ドル(約 9 億円)から大幅に増加しました。
インテグレーションの課題が解決されないまま、アプリケーションの数は急増
ステムをそのままにアプリケーションを追加しようとすると、インテグレーションの課題が浮きぼりになり、DX進展の障壁がさらに高まるでしょう。カスタム型のインテグレーション(いわゆる手組み開発) でこれらの課題解決をしようとすると、年当たり470万ドル(約6.3億円)の追加支出が必要になります。
- 企業は、平均1,061ものアプリケーションを使用しており、その数は急速に増え続けていま す。これらアプリケーションのうち、他のシステムやプラットフォームと統合されているのは 29%に過ぎません。
- 企業は、直近の1年間で、カスタムコーディングによるインテグレーションに平均 470万ドル(約6.3億円)を費やしています。 昨年の360万ドル(約4.9億円)から大幅に増加しました。
- 80%の組織にとって、DXの障壁となっているのはインテグレーションです。「DXの進捗が予想より遅れている」と回答した企業では、この割合が90%にも上昇します。
コネクテッドエクスペリエンスは、顧客にとってあたり前
36%の企業は「すべてのチャネルで完全にコネクテッドなユーザーエクスペリエンス(UX)を提供している」と回答(昨年は30%)。しかし、多くの企業にとってUXインテグレーションは依然として難しい課題になっています。
- 54%の企業が、エンドユーザーエクスペリエンスのインテグレーションは難しいと感じています。この割合は、「DXが当初予想よりも遅れている」と感じている企業では、74%と高くなりました。
- 事業部門は、顧客の満足度とエンゲージメントの向上に取り組んでいます。36%の企業が、すべてのチャネルで「完全にコネクテッドなユーザーエクスペリエンスを提供できている」と回答。昨年の30%から増加しました。
- ユーザーエクスペリエンスが統合されると、以下のことが可能になります。
・カスタマーエンゲージメントの向上(56%)
・オペレーションの見える化(53%)
・イノベーションのサポートの実現(51%)
すべての事業部門が自動化ソリューションを必要としている
自動化の導入は着実に進んでいます。多くのIT部門は、自動化プロセスを中央で管理(67%)かつモニタリング(59%)を実施しており、IT以外の非エンジニア系部門からも自動化の導入を求める声が大きくなっています。このような非エンジニア部門からの要求に応えるため、ノーコードの自動化ソリューションが注目されています。
- 効率的なビジネス成長のために、多くの企業が自動化ソリューションの導入を進めています。すべての業種業態においてRPAの導入が進んでおり、33%の企業がRPAへの投資を計画しています。これは2年前の13%から20ポイントも増加したことになります。
- 自動化は、DXにおいて重要な要素になってきています。自動化においてIT部門が担っている主な責任とは、集中的な管理(67%)とモニタリング(59%)です。
- データ分析(64%)、製品(62%)、業務分析(61%)など、IT以外の多くの職種や部署が、その業務の効率的な遂行のために自動化を必要としています。
APIはコスト削減と収益最大化に貢献
APIはDX成功のカギとなりました。開発を合理化し、収益の38%をうみ出しています。DXの進捗が予想よりも速く進んでいる企業のほとんど(93%)が、明確なAPIインテグレーション戦略を有しています。
- ほぼすべての企業(99%)が、パブリックAPI/プライベートAPIを使用しています。最もよく使われるのは、「新しいプロジェクトのプロセス開発(53%)」、「 インテグレーション(53%)」でした。
- 56%の企業は、「非エンジニア系のビジネス ユーザーがアプリケーションやデータソースを簡単に統合できるような、完成度の高いAPI戦略を持っている」と回答しています。
- 52%の企業が「APIがセルフサービスITの機能を支えている」と回答。2018年の35%から毎年着実に増え続けています。これはAPIがコストを抑え、効率を高めることを示しています。
MuleSoftのCTO(最高技術責任者)であるマット・マクラーティ(Matt McLarty)は、次のように述べています。
「デジタルトランスフォーメーションを目指す企業が多額の投資を行い、献身的に尽力している姿を目の当たりにしてきました。不透明な経済情勢の中でも、DXの取り組みは順調に進んでおり、スピードアップしている企業もあります。一方で、インテグレーションの取り組みは遅れており、これなしではデータとアプリケーションの機能を存分に活かしきることはできません」
インテグレーションツールと自動化は、そのギャップを埋めるのに役立ち、生産性、効率性を向上し、イノベーションによる利益をもたらすことで、企業がビジネスを前進させる牽引力となります。
「2023年版 接続性ベンチマークレポート(日本語版)」は以下のリンクからダウンロードいただけます。
https://www.mulesoft.com/jp/lp/reports/connectivity-benchmark