Salesforce、エンタープライズ向けに信頼性に優れた生成AI「AI Cloud」を発表

2023.06.23
DX事例
Salesforce、エンタープライズ向けに信頼性に優れた生成AI「AI Cloud」を発表

米国セールスフォース(以下、Salesforce)は、Salesforceのユーザーがエンタープライズ向け生成AIを活用して信頼性を確保しながら、速やかにカスタマーエクスペリエンスと企業の生産性を強化できるよう支援する「AI Cloud」を発表しました。

AI Cloudとは

I Cloudはあらゆるアプリケーションやワークフローにおいて、信頼性の高いオープンでリアルタイムの生成を実現することに最適化された一連の機能群です。

AI Cloudは新たにEinstein GPT Trust Layerを搭載し、エンタープライズデータのセキュリティやコンプライアンス要件に対応しながら生成AIのメリットを活用できるため、生成AI活用のリスクに対する懸念が解消されます。Salesforceは、このような機能とセキュリティを独自に組み合わせて提供することで、No. 1のAI CRMとしての地位を強化します。

AI Cloudの心臓部となる、世界初のCRM向けAIであるEinsteinは現在、Salesforceのあらゆるアプリケーションで週に1兆件以上の予測を提供しています。Einsteinに生成AIを搭載し、営業、サービス、マーケティング、コマースの領域で、あらゆる企業や社員の生産性と効率を向上させます。

AI Cloudを活用することで、営業担当者は顧客ニーズに合わせパーソナライズされたメールを速やかに自動生成し、サービスチームはパーソナライズされたエージェントのチャット返信やケースサマリーを自動生成することができます。

マーケティング担当者はパーソナライズされたコンテンツを自動生成し、メール、モバイル、Web、広告などさまざまなチャネルで既存顧客や潜在顧客を惹きつけることができます。

コマースチームはバイヤージャーニーのすべてのステップでカスタマイズされたコマース体験を提供するためのインサイトやレコメンデーションを自動生成することができます。そして開発者はコードを自動生成し、コードに潜むバグを予測し、修正を提案することができます。

 

信頼できる生成AIが企業にとって重要な理由

経営者は生成AIを活用したいと考える一方で、リスクを警戒しており、ハルシネーション、有害性、プライバシー、バイアス、データガバナンスといった懸念が信頼性のギャップを生んでいます。

Salesforceが実施した最新の調査によると、社員の73%が生成AIにより新たなセキュリティリスクが生じると考えており、生成AIの活用を考えている社員の60%近くがデータの安全性をどのように確保したらよいか分からないと答えています。

AI Cloudは、新たなEinstein GPT Trust Layerにより、この信頼性のギャップを解消します。Einstein GPT Trust Layerは大規模言語モデル(LLM)に顧客の機密データを保持させないようにします。機密データをLLMと分離させることで、顧客はデータガバナンスをコントロールしつつ、生成AIの力を最大限に引き出すことができます。

Einstein GPT Trust Layerはエンタープライズ向けの安全な生成AIの新たな業界標準となります。

Salesforceの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ(Marc Benioff)は、次のように述べています。

「AIは私たちが想像もしなかったような方法で世界を再形成し、ビジネスを変革しており、あらゆる企業がAIファーストになることを求められています。当社のNo. 1 CRM上に構築されたAI Cloudは、AIの力を最も素早くかつ簡単に引き出すことができ、その中心にあるのは新たなEinstein GPT Trust Layerによる信頼性です。AI Cloudはあらゆる企業に驚異的なイノベーション、生産性、効率をもたらします」

デジタルツインアプリの特長

 

AI Cloudが実現する、信頼性の高いエンタープライズ向け生成AIの未来

AI Cloudは、Einstein、Data Cloud、Tableau、Flow、MuleSoftといった、Salesforceのテクノロジーを統合し、エンタープライズ対応の信頼できるオープンな生成AIを提供します。

信頼性とオープン性

Einstein GPT Trust Layerにより、企業は各タスクに適切なモデルを最適化することで、信頼できる生成AIをより速やかに活用し始めることができます。また、関連するあらゆるLLMを展開できるようにすることで、企業がデータプライバシー、セキュリティ、レジデンシー、およびコンプライアンスの目標を維持できるよう支援します。

  • サードパーティーのLLMの活用:オープンなエコシステムへのSalesforceのコミットメントの一環として、AI CloudはAmazon Web Services(AWS)、Anthropic、CohereなどのLLMを、完全にSalesforceのインフラストラクチャ内でホストできるよう設計されています。AI Cloudにより、顧客のプロンプトやレスポンスをSalesforceのインフラストラクチャ内で保持できます。さらに、SalesforceとOpenAIは、共同で信頼性の構築に取り組むパートナーシップを締結し、OpenAIの業界をリードするEnterprise APIと最高水準の安全性ツールを使用して、Einstein GPT Trust Layerと融合させたコンテンツモデレーションを共同で提供し、Salesforce内に保持されるデータの維持を支援します。
  • SalesforceのLLMの活用:AI Cloudでは、コード生成、業務プロセスの自動化支援といった高度な機能を提供するためSalesforce AI Research(https://www.salesforceairesearch.com/)が開発したSalesforceのLLMを活用できるようにし、企業におけるCRMソフトウェアの活用のあり方を根本から変革します。CodeGen、CodeT5+、CodeTFといったSalesforceのLLMにより、生産性の向上、人材のスキルギャップの解消、導入コストの削減、インシデント検知の強化を図ることができます。
  • Bring Your Own Model(BYOM):Salesforce以外の環境で独自のドメインに特化したモデルをトレーニングしている顧客は、データを顧客のインフラストラクチャに保管しながらAI Cloudを活用することができます。Amazon SageMakerやGoogleのVertex AIなどで稼働するこのようなモデルをEinstein GPT Trust Layerを通してAI Cloudと直接連携させることができます。このような活用例では、顧客データは顧客の信頼できる境界内にとどめておくことができます。

ビジネスに対応

AIにより世界経済は2030年までに15兆ドル以上拡大し、GDPは26%成長すると予測されています*。AI CloudはSalesforceのあらゆる力を活用し、企業や従業員の生産性と効率性を高めます。

  • Salesforceのすべてのアプリケーションで生成AIを提供:Salesforceはすべての製品に信頼できるAIを組み込み、Sales GPT、Service GPT、Marketing GPT、Commerce GPT、Slack GPT、Tableau GPT、Flow GPT、Apex GPTとして提供します。Salesforceの信頼できるオープンなビジネスに対応した生成AIアプリケーションについて詳しくはこちらをご覧ください。
  • プロンプトテンプレートとビルダー:AIコンテンツを生成するプロンプトは、生成コンテンツの質と関連性に直接影響します。Salesforceはハーモナイズされたデータを使って最適化するAIプロンプトを開発しており、生成される出力結果をあらゆる企業の独自のコンテキストで提供することができます。このようなコンテキストに富むプロンプトにより、セールス、サービス、マーケティング、コマース、IT部門は、ハルシネーションを回避し、時間やコストを節約しつつ、信頼できる生成AIからすぐに価値を得ることができます。

 

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